共有名義・相続した実家は1人で解体できる?相続人全員の同意が必要な理由と進め方【岡山】

親が亡くなり、兄弟姉妹で相続した実家。
「誰も住まないし、そろそろ解体したい」と考えたとき、気になるのがほかの相続人の同意は必要なのかという点です。

登記簿の名義が複数人になっている「共有名義」の家や、相続人が複数いる家は、1人の判断だけでは解体を進められないのが原則です。この記事では、岡山の解体工事専門店「おまかせ解体」が、共有名義・相続した家を解体するときのルールと、トラブルを避ける進め方を解説します。

この記事の結論

  • 1人では解体できないのが原則
    民法では、共有している物に変更を加えるには、ほかの共有者の同意が必要とされています(民法251条1項)。建物の取り壊しは、一般にこの「変更」に当たると考えられています。
  • 相続登記をしていなくても同じ
    相続人が複数いる場合、遺産分割が終わるまで、相続した家は相続人全員の共有になります(民法898条)。
  • 連絡が取れない共有者がいる場合
    まずは戸籍や住民票で所在を調べます。所在が分からない共有者がいる場合の制度も2023年4月に設けられましたが、この制度で建物全体を解体できるとは限らないため、専門家への相談が必要です。
  • 同意は書面に残す
    口約束ではなく、同意したことを書面に残しておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。
  • 費用の分担も先に決める
    誰が業者と契約し、費用をどう分けるかを、解体の前に話し合っておきましょう。

共有名義の家とは?自分の家が共有か確認するには?

共有名義の家とは、1つの建物や土地を、複数の人が持分(=所有している割合)を持って所有している状態にある家のことをいいます。たとえば「兄が2分の1、弟が2分の1」のように、登記簿に複数の名前が載っています。

名義が誰になっているかは、法務局で取得できる登記事項証明書(登記簿謄本)で確認できます。「権利部(甲区)」という欄に、所有者の名前と持分が書かれています。なお、土地と建物では所有者が異なる場合もあります。解体前には、建物だけでなく土地の登記名義も確認しておきましょう。

注意したいのは、登記簿が亡くなった親の名前のままになっているケースです。
この場合、登記簿の上では1人の名義に見えても、実際には相続人全員で共有している状態になっています(次の見出しで解説します)。相続した不動産の名義変更については「相続登記の義務化とは?」で解説しています。

相続人の1人だけで実家を解体できる?

原則として、できません。理由は2つあります。

①相続人が複数いると、家は全員の共有になる

民法898条では、相続人が複数いるとき、相続財産はその共有に属すると定められています。つまり、遺産分割の話し合い(誰がどの財産を引き継ぐかを決めること)が終わるまでは、実家は相続人全員が共有している状態です。「実家に一番近くに住んでいるから」「長男だから」といった理由で、1人が自由に処分できるわけではありません。

②共有物の「変更」には、ほかの共有者の同意が必要

民法251条1項では、各共有者は、ほかの共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができないとされています。ただし、形や役割を大きく変えない「軽微な変更」は除かれます。

建物を取り壊して更地にすることは、建物の形も役割もなくしてしまう行為ですから、一般的には全員の同意が必要な「変更」に当たると考えられます。

もし、ほかの共有者の同意を得ないまま解体を進めると、後から「勝手に壊された」と共有者との間で深刻なトラブルになるおそれがあります。個別の事情で判断に迷う場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

状況別:共有名義の家を解体するにはどう進める?

共有者・相続人の状況によって、進め方は次のように変わります。

状況進め方の考え方相談先の例
全員が解体に賛成している同意を書面に残し、契約者と費用の分担を決めて解体業者に依頼する解体業者
反対している人がいる話し合いを重ねる。遺産分割で家を引き継ぐ人を決める方法もある。まとまらない場合は家庭裁判所の調停などを利用する方法もある弁護士、家庭裁判所
連絡が取れない・行方が分からない人がいるまず戸籍や住民票で所在を調べる。所在が分からない共有者がいる場合の制度もあるが、建物全体を解体できるかは個別の検討が必要弁護士、司法書士
相続人が誰なのか分からない戸籍をたどって相続人を確定させる司法書士、市区町村の戸籍窓口

反対する相続人がいるときは?

「思い出のある家を壊したくない」「解体費用を出したくない」など、反対する理由は人それぞれです。

まずは、なぜ解体したいのか(倒壊の危険、固定資産税、管理の負担など)と、解体しない場合に誰が管理するのかを、具体的に話し合うことが出発点になります。

遺産分割がまだ終わっていない場合は、話し合いによって実家を引き継ぐ人を1人に決める方法もあります。
すでに共有名義で相続登記を済ませている場合は、持分の譲渡などによって所有関係を整理する方法も考えられます。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停などを利用する方法もあるので、弁護士に相談してみましょう。

連絡が取れない相続人がいるときは?

相続人の中に連絡が取れない人がいる場合は、まず戸籍や住民票などを調べて、所在を確認する必要があります。電話や手紙に返事がないというだけでは、法律上の「所在が分からない」状態には当たりません。

2023年4月の民法改正では、所在が分からない共有者がいる場合に、裁判所の決定を得て一定の変更行為を行える制度が設けられました(民法251条2項)。ただし、この制度を利用して建物全体を解体できるとは限りません。解体には所有権の問題も関係するため、弁護士などの専門家に相談しましょう。共有制度の見直しの全体像は、法務省のホームページで紹介されています。

同意を得たら、解体前に何を話し合っておく?

全員が解体に賛成していても、細かい点を決めないまま進めると、後から「そんな話は聞いていない」というトラブルになりがちです。解体業者に依頼する前に、次の点を話し合っておきましょう。

話し合っておくことポイント
同意の残し方口約束ではなく、全員が同意したことを書面に残しておくと安心
解体業者と契約する人代表者を1人決めると、業者とのやりとりがスムーズになる
費用の分担持分の割合で分けるのか、売却代金から精算するのかなどを決める
家の中の物の扱い形見分けや、残す物・処分する物を、解体前に全員で確認する
解体後の土地の扱い売却するのか、誰かが引き継ぐのかを決めておく
補助金の申請者自治体の補助金を使う場合、誰が申請者になるかを確認する

家の中の物の扱いは、相続でもめやすい点の1つです。「相続した空き家の不用品処分|岡山で失敗しないための3つの注意点」もあわせてご覧ください。

共有名義の家で補助金は使える?

例えば、おまかせ解体が拠点を構える岡山市の空き家除却(解体)補助金では、対象者を「空き家の所有者(個人)、または所有者(個人)の承諾を受けた者(個人)」としています。

ただし、補助金を利用するには、建物が空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の「特定空家等」に該当することなど、建物についても条件があります。共有名義の家や、相続人が複数いる家の場合に必要な書類や申請方法は、申請前の事前相談で確認しましょう。

補助金は、工事の契約前に申請が必要な場合があります。解体業者と契約する前に、自治体の窓口に相談しておくのが安全です。岡山市の補助金の詳細は「岡山市の解体工事(除却)補助金・助成金ガイド」で解説しています。

解体のほかに検討したい選択肢は?

共有者の間で「解体する・しない」の意見が分かれる場合は、ほかの手放し方も含めて検討すると、話し合いが進むこともあります。

また、相続した空き家を売却する場合に使える「3,000万円特別控除」は、相続人が3人以上の場合に控除額が変わる点に注意が必要です。「空き家の3,000万円控除とは?」で解説しています。

解体が終わった後の手続きは?

建物を解体したら、原則として解体から1か月以内に、法務局へ建物滅失登記(建物がなくなったことの登記)を申請する必要があります(不動産登記法57条)。共有名義の建物の場合も、誰が手続きをするのかを事前に決めておくとスムーズです。手続きの流れは「建物滅失登記とは?」で解説しています。

まとめ

  • 共有物に変更を加えるには、ほかの共有者の同意が必要(民法251条1項)。建物の取り壊しは一般にこの「変更」に当たると考えられている
  • 相続人が複数いると、遺産分割が終わるまで家は全員の共有になる(民法898条)。登記が親の名義のままでも同じ
  • 反対する人がいる場合は話し合いが基本。遺産分割で引き継ぐ人を決める方法や、家庭裁判所の調停などを利用する方法もある
  • 連絡が取れない共有者がいる場合は、まず所在を調べる。所在が分からない共有者がいる場合の制度もあるが、建物全体を解体できるとは限らないため専門家に相談する
  • 同意は書面に残し、契約者・費用の分担・解体後の土地の扱いを決めてから業者に依頼する

Q&A

兄弟で相続した実家を、自分1人の判断で解体できますか?

原則としてできません。相続人が複数いる場合、遺産分割が終わるまで家は相続人全員の共有になり(民法898条)、共有物に変更を加えるにはほかの共有者の同意が必要です(民法251条1項)。建物の取り壊しは、一般にこの「変更」に当たると考えられています。

登記簿が亡くなった親の名義のままです。誰の同意が必要ですか?

登記簿の名義が親のままでも、相続人が複数いれば、家は相続人全員の共有になっています。そのため、相続人全員の同意を得て進めるのが基本です。相続人が誰なのかは、戸籍をたどって確認します。

相続人の1人と何年も連絡が取れません。解体はあきらめるしかないですか?

解決方法を検討することはできますが、簡単に解体できるわけではありません。まずは戸籍や住民票などで所在を調べます。2023年4月の民法改正で、所在が分からない共有者がいる場合に裁判所の決定を得て一定の変更行為を行える制度が設けられましたが(民法251条2項)、この制度で建物全体を解体できるとは限りません。弁護士などの専門家に相談してください。

解体業者とは、相続人全員が契約しないといけませんか?

相続人の間で、業者と契約する代表者を1人決めておくとスムーズです。そのうえで、全員が解体に同意していることを書面に残し、費用の分担もあらかじめ決めておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

共有名義の家でも、解体の補助金は使えますか?

岡山市の除却補助金は、対象者を「所有者、または所有者の承諾を受けた者」としています。ただし、建物が空家法の「特定空家等」に該当することなど、建物にも条件があります。共有名義の場合に必要な書類は、申請前の事前相談で確認してください。補助金は工事の契約前に申請が必要な場合があるので、早めに相談しましょう。

参考にした情報

おまかせ解体では、相続した実家の解体についてのご相談も承っています。相続人の皆さまで話し合いが整ったら、お見積りや工事の進め方について、お気軽にご相談ください。

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