長屋(連棟住宅)の切り離し解体~1戸だけの部分解体に必要な同意、隣の家の外壁の補修【岡山】

長屋や連棟住宅(壁や屋根でつながった住宅)にお住まいの方、または相続した方から、「自分の家の部分だけ解体できるの?」という声を聞くことがあります。

結論から言うとできます。
ただし、1戸だけを切り離して解体することはできますが、つながっている住戸の所有者の承諾が必要です。この記事では、岡山の解体工事専門店「おまかせ解体」が、長屋の切り離し解体に必要な承諾と、工事で注意すべき点を解説します。

この記事の結論

  • 1戸だけの解体はできる、ただし承諾が必要
    基礎・屋根・外壁・柱・梁などが一棟でつながっている長屋は、ほかの所有者の承諾なしに一部だけを解体したり切り離したりすることはできないとされています(大阪府 建築指導室)。
  • 境い目の壁は「お隣と共有」とは限らない
    境界線上の塀などは隣り合う人の共有と推定されますが(民法229条)、一棟の建物の一部になっている壁には、この推定は適用されません(民法230条)。誰の物かは登記や構造によって変わります。
  • 共用の配管・配線に注意
    水道・排水・電気などが隣の住戸とつながっていることがあり、この場合は確認と付け替え(切り回し)が欠かせません。
  • 切り離した壁の補修を話し合う
    解体後、隣の住戸の壁がむき出しになるため、補修の内容と費用の負担を事前に決めておきます。

長屋・連棟住宅とは?自分の家が当てはまるか確認するには?

長屋(連棟住宅)とは、複数の住戸が壁や屋根を共有して、横につながって建っている住宅のことです。見た目は1戸ずつ独立しているようでも、基礎や屋根、柱、梁が隣の住戸とつながっている場合があります。

自分の家がどのような扱いになっているかは、次の点で確認します。

確認すること確認方法
建物の登記法務局で登記事項証明書を取り、1棟の建物として登記されているか、住戸ごとに登記されているか(区分所有か)を確認する
各住戸の所有者つながっている住戸の所有者が誰かを、登記で確認する
構造のつながり基礎・屋根・柱・梁が隣とつながっているかを、解体業者の現地調査で確認する
共用の配管・配線水道・排水・電気・ガスなどが隣とつながっていないかを確認する

土地と建物の名義が異なる場合もあるので、土地の登記もあわせて確認しておきましょう。

1戸だけ解体するのに、なぜ隣の家の承諾が必要?

理由は大きく2つあります。

①建物の安全に関わるから

大阪府の建築指導室は、基礎・屋根・外壁・柱・梁などが一棟でつながっている長屋について、ほかの区分所有者などの承諾なしに一部だけの解体や切り離しはできないと注意を呼びかけています。そのような工事は建物のバランスを崩し、倒壊や雨漏りの原因になる可能性があるためです。

②屋根や外壁などが、みんなの物の場合があるから

区分所有の長屋(住戸ごとに所有者が分かれ、建物全体は1棟として扱われる長屋)では、屋根や外壁など建物を支える部分は「共用部分」とされ、所有者全員の共有になります(区分所有法11条)。自分の住戸の部分であっても、共用部分に手を加えるには、ほかの所有者との合意が必要になります。

また、住戸どうしの境い目の壁について、民法では「境界線上の塀などは隣り合う人の共有と推定する」としていますが(民法229条)、一棟の建物の一部になっている壁には、この推定は適用されません(民法230条)。境い目の壁が誰の物かは、登記や構造によって変わるため、判断に迷う場合は弁護士や土地家屋調査士などの専門家に相談しましょう。

相続などで共有名義になっている場合は、自分の住戸の共有者の同意も必要です。共有名義の家を解体するときに必要な相続人全員の同意については、別の記事で解説しています。

切り離し解体で特に注意することは?

共用の配管・配線の確認と切り回し

長屋やアパートでは、水道管・排水管・電気の配線などが、建物の中で隣の住戸とつながっていることがあります。何も確認せずに解体すると、隣の住戸の水や電気が使えなくなるおそれがあります。

おまかせ解体では、同じ家主様のアパートの一部を切り離して解体する工事を行ったことがあります。
こうした工事で特に注意しているのが、共用の配管・配線の確認と、残る住戸がそのまま使えるように付け替える「切り回し」です。配管や配線の工事には、それぞれの専門業者や電力会社・水道局などとの調整が必要になるため、工事の前に確認が必要です。解体前の電気・ガス・水道の停止手続きと連絡先もあわせてご覧ください。

この工事では切り離しを行った後、リフォーム会社さんに引き継ぎました。この後耐震補強等必要であればそういった工事も行われます。

切り離したあとの壁の補修

1戸を解体すると、当然ですがそれまで室内側だった隣の住戸の壁が、外にむき出しになります。そのままでは雨風を防げないため、外壁として使えるように補修する必要があります。

補修の内容(外壁材を張る、防水をするなど)や、その費用を誰が負担するかは、事前に隣の住戸の所有者と話し合って決めておきましょう。補修を行う施工業者が見つからない場合は、おまかせ解体で業者探しのご相談にも応じられます。

隣の敷地を使うときは事前に知らせる

切り離しの工事や壁の補修では、足場を組むために隣の敷地を使う必要が出てくることがあります。

民法209条では、境界付近の建物の取り壊しや修繕のために必要な範囲で隣地を使えるとしていますが、あらかじめ目的・日時・場所・方法を隣の所有者などに知らせる必要があり、住んでいる家に立ち入るには住人の承諾が必要です。工事前の解体工事の近隣挨拶の時期と回る範囲とあわせて、丁寧に説明しておくことが大切です。

長屋の切り離し解体はどんな流れで進む?

順番やること主に関わる人
1登記を確認し、つながっている住戸の所有者を確認する施主様(法務局)
2解体業者の現地調査で、構造のつながりと共用の配管・配線を確認する解体業者
3隣の住戸の所有者に説明し、承諾を得る。壁の補修の内容と費用の負担を決める施主様・隣の所有者(必要に応じて専門家)
4配管・配線の切り回しと、ライフラインの停止を手配する専門業者・電力会社・水道局など
5近隣挨拶のあと、切り離し解体の工事を行う解体業者
6隣の住戸の壁を補修する補修の施工業者
7建物の登記を変更する(変更の登記または滅失の登記)施主様(法務局・土地家屋調査士)

解体後の登記はどうなる?

建物全体がなくなった場合は、滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請します(不動産登記法57条)。

一方、長屋の一部だけを取り壊した場合は、建物の床面積などが変わるため、変更があった日から1か月以内に変更の登記が必要になることがあります(不動産登記法51条)。

どちらの登記が必要になるかは、建物の登記の状況によって変わるため、法務局や土地家屋調査士に確認しましょう。建物滅失登記の期限と必要書類は、別の記事で解説しています。

まとめ

  • 長屋・連棟住宅の1戸だけを切り離して解体することはできるが、つながっている住戸の所有者の承諾が必要
  • 区分所有の長屋では、屋根や外壁などは所有者全員の共有(区分所有法11条)
  • 境い目の壁には、境界線上の塀のような「共有の推定」(民法229条)は適用されない(民法230条)
  • 共用の配管・配線を確認し、残る住戸が使えるように切り回す
  • 切り離したあとの隣の壁の補修内容と費用の負担を、事前に決めておく
  • 一部だけ取り壊した場合は、滅失登記ではなく変更の登記が必要になることがある

Q&A

長屋の自分の部分だけを、隣に黙って解体してもいいですか?

いいえ。基礎・屋根・外壁・柱・梁などが一棟でつながっている長屋は、ほかの所有者などの承諾なしに一部だけを解体したり切り離したりすることはできないとされています。建物のバランスが崩れ、倒壊や雨漏りの原因になるおそれもあります。

切り離したあとの隣の家の壁の補修費は、誰が払うのですか?

決まったルールはないため、隣の住戸の所有者と事前に話し合って決めます。補修の範囲(切り離した面だけか、ほかの部分も含むか)も含めて、書面に残しておくと後のトラブルを防ぎやすくなります。

隣の家と水道管や電気の配線がつながっている場合はどうなりますか?

解体の前に、残る住戸がそのまま使えるように配管や配線を付け替える「切り回し」が必要です。確認せずに解体すると、隣の住戸の水道や電気が使えなくなるおそれがあります。現地調査の段階で、共用の配管・配線がないかを確認しておきましょう。

長屋の境い目の壁は、お隣との共有ですか?

一概には言えません。境界線上の塀などは隣り合う人の共有と推定されますが(民法229条)、一棟の建物の一部になっている壁には、この推定は適用されません(民法230条)。登記や構造によって扱いが変わるため、専門家に確認しましょう。

長屋の一部を解体したら、滅失登記をすればいいですか?

建物の一部だけを取り壊した場合は、床面積などが変わるため、変更の登記が必要になることがあります(不動産登記法51条、変更があった日から1か月以内)。どの登記が必要かは登記の状況によって変わるので、法務局や土地家屋調査士に確認しましょう。

参考にした情報

長屋や連棟住宅、アパートの一部の切り離し解体は、通常の解体よりも事前の確認が多い工事です。「おまかせ解体」では、共用の配管・配線の確認を含めた現地調査から承っています。まずはお気軽にご相談ください。

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