空き家の3,000万円控除とは?適用要件・解体タイミング・確定申告の注意点
相続した空き家を売るとき、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「空き家の特別控除(空き家特例)」が使えます。
ただし適用には5つの要件があり、タイミングを間違えると控除が受けられなくなります。このページでは要件・タイミング・確定申告の注意点をまとめて解説します。
空き家の3,000万円控除とは?
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」。相続した実家(空き家)を売却した際の譲渡所得から、最大3,000万円を差し引いて税金を計算できる制度です。
具体例:売却価格3,500万円、取得費・譲渡費用500万円の場合
・控除なし → 譲渡所得3,000万円に課税
・控除あり → 譲渡所得0円(3,000万円 − 3,000万円)→ 税額ゼロ

売却時の税金全体(譲渡所得税の計算方法・他の特例など)については別記事で解説しています。
▶ 空き家の売却にかかる税金まとめ(近日公開)
適用される5つの要件
相続または遺贈で取得した家・土地であること
売買で取得した物件や、贈与を受けた物件は対象外です。
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であること
旧耐震基準の建物が対象。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は対象外です。建築確認日は登記事項証明書や確認済証で確認できます。
相続開始の直前まで被相続人が一人で住んでいたこと
老人ホーム等への入居前まで居住していた場合も、一定要件を満たせば対象になります。相続前からすでに空き家だった物件は対象外です。
相続から売却まで、事業・貸付・居住に使っていないこと
相続後に誰かに貸した、店舗として使ったなどの場合は対象外になります。
相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
例:2022年4月に相続 → 2025年12月31日までの売却が必要。この期限を過ぎると控除は使えません。また売却価格は1億円以下であることも要件です。
2024年改正で変わった2つのポイント
① 買主が解体する場合も特例OK(2024年1月以降の売却から)
改正前は「売主が売却前に耐震改修または解体」しなければ特例が使えませんでした。改正後は売却後に買主が解体する場合も対象となり、売主の負担が軽減されました。ただし、買主が譲渡した年の翌年2月15日までに解体することが条件です。
② 相続人が3人以上の場合、控除額が2,000万円に縮小
2024年1月以降、相続人が3人以上の場合の控除額は2,000万円に引き下げられました。相続人が1〜2人の場合は従来通り3,000万円です。
解体のタイミング:OK・NGパターン
| パターン | 判定 | ポイント |
|---|---|---|
| 売却前に売主が解体して更地で売る | ✅ OK | 最もシンプルで確実。解体費用は譲渡費用として控除計算に含められる |
| 売却後に買主が解体(翌年2/15までに完了) | ✅ OK(2024年改正後) | 契約書に解体時期を明記すること |
| 売却後に売主が解体 | ❌ NG | 特例は適用されない |
| 相続から3年目の年末を過ぎて売却 | ❌ NG | 期限超過で特例使用不可。相続日から逆算して早めに動くこと |
⚠️ 解体費用は譲渡費用として計上でき、課税対象の譲渡所得を減らせます。解体業者から正式な領収書・工事明細書を必ず取得してください。
確定申告に必要な書類チェックリスト
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書に添付)
- 売買契約書のコピー(売却時・取得時の両方)
- 登記事項証明書
- 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
- 耐震基準適合証明書(耐震改修した場合)または建物滅失証明書(解体した場合)
- 解体工事の請負契約書・領収書(解体費用を譲渡費用に計上する場合)
- 買主が解体した場合:買主の解体完了を証明する書類
よくある質問
Q. 昭和56年以降に増築した部分がある場合は?
A. 元の建物が昭和56年5月31日以前に建てられていれば、増築部分があっても特例の対象になります。ただし実態による判断が必要なため、税理士に確認することを推奨します。
Q. 親が老人ホームに入っていた場合は使えますか?
A. 要介護認定を受けていた、老人ホーム入居後も家を事業・貸付に使っていないなどの要件を満たせば対象になります。2023年の改正で要件が緩和されました。
Q. 兄弟3人で相続した場合、控除は各人2,000万円ですか?
A. はい。2024年1月以降は相続人が3人以上の場合、各人の控除上限が2,000万円になります(合計額ではなく各人)。
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