建設リサイクル法とは?|分別解体と再資源化の義務について徹底解説

建物を解体・新築・改修する際、「どんなふうに壊して、どう処分するか」は環境保全の観点でも非常に重要です。
建設リサイクル法は、こうした工事で発生する建設廃材を適切に分別・再資源化し、資源の無駄遣いを防ぐために定められた法律です。

本ページでは、「どんな工事が対象になるの?」「届出は誰がやるの?」「罰則はあるの?」といった疑問にお答えしながら、建設リサイクル法の基本と実務におけるポイントをわかりやすく解説します。

建設リサイクル法とは?

「建設リサイクル法」とは、正式名称を「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といい、建設工事で発生する廃棄物を分別・再資源化することを目的とした法律です。

2002年に施行され、建設廃棄物による最終処分場のひっ迫や不法投棄といった深刻な環境問題への対応として導入されました。
建設廃棄物は、産業廃棄物全体の2割、不法投棄の6〜7割を占めていたため、この法律によって循環型社会の実現と適正処理の義務化が図られています。

対象となる工事

建設工事すべてがこの法律の対象となるわけではありません。建設リサイクル法の対象となるのは、以下の条件に該当する特定建設資材を使用した工事です。

工事の種類適用の基準
建築物の解体工事床面積80㎡以上
建築物の新築・増改築床面積500㎡以上
修繕・模様替え等請負金額1億円以上
土木・造成など建築物以外の工事請負金額500万円以上

※金額は消費税込です。

対象となる建設資材(特定建設資材)

法律で再資源化が義務付けられている「特定建設資材」は次の4つです。

  • コンクリート
  • コンクリートおよび鉄から成る建設資材(鉄筋コンクリートなど)
  • 木材(合板・集成材など)
  • アスファルト・コンクリート

これらの資材を含む建物を解体する場合は、分別解体し、リサイクル可能な状態にすることが義務となります。

事業者の義務とは?

建設リサイクル法では、以下のような義務が発注者・元請業者・解体業者に課されています。

● 分別解体と再資源化の実施

現場で資材ごとに丁寧に分別して解体し、それを再資源化施設に運ぶ必要があります。再資源化施設とは、建設工事などで発生した廃材を破砕・選別・加工し、コンクリート再生材や木質チップ、再生アスファルトなどとして再利用可能な状態にするための処理施設のことを指します。

● 事前届出の提出(発注者)

工事着手7日前までに、分別解体計画書を都道府県知事等に提出します。

● 書面での説明義務(元請業者→発注者)

工事の計画・構造・分別内容などを文書で説明し、契約書にも明記します。

● 標識の掲示・技術管理者の配置

現場には標識を掲げ、一定資格を持つ技術管理者を配置しなければなりません。

● 解体工事業の登録

解体工事を請け負うには、都道府県への登録が必要です。なお、日本クレストのように、建設業の許可を得ていれば解体工事業の登録は必要ありません。

届出の流れ(発注者が行う場合)

  1. 対象工事に該当するか確認
  2. 元請業者からの計画書類受領
  3. 都道府県知事へ届出(様式第1号など)
  4. 工事実施
  5. 再資源化の完了報告・記録保存

この一連の手続きは、工事着手前の適切なタイミングで確実に行う必要があります。届出忘れや記載漏れがあった場合、法令違反として罰則の対象になる可能性があります。

違反した場合の罰則

法律に違反した場合、以下のような罰則が科されます。

  • 届出をしなかった場合:20万円以下の罰金
  • 再資源化命令に違反:50万円以下の罰金
  • 無登録で解体工事を実施:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 技術管理者を配置しなかった場合:20万円以下の罰金

※法人にも責任が問われる「両罰規定」があります。

よくある誤解・注意点

  • 80㎡未満の解体工事でも、産廃処理やマニフェストは必要です。
  • 木材が発生しない工事でも、法対象となる場合があります。
  • 自治体によって手続きや様式が異なるため、必ず事前確認を。
  • 伐採木や残置物(家具・家電等)はリサイクル法の対象外ですが、適切な産廃処理が必要です。

日本クレストの取り組み

私たち日本クレストでは、建設リサイクル法に則った分別解体・再資源化を徹底し、環境負荷の軽減とコンプライアンスの順守に努めています。

お客様に代わって届出書類の作成・提出をサポートするほか、再資源化実施報告も適正に行い、安心・安全な解体工事を提供しています。

まとめ

建設リサイクル法は、すべての建設関係者が守るべき環境保全のルールです。
対象工事の判断や書類の準備などに不安がある方は、経験豊富な専門業者にご相談いただくことをおすすめします。