吹付けアスベストとは?その特徴・危険性と調査の重要性について

建物や工作物の解体・改修を検討する際、最も注意しなければならない建材の一つが「吹付けアスベスト」です。
吹き付けアスベストは、アスベスト(石綿)建材の中でも、特に飛散しやすく危険性が高いことで知られています。
本記事では、そんな吹付けアスベストの基礎知識から、使用されている場所、法的な義務について解説します。
吹付けアスベストの定義と役割
吹付けアスベストとは、石綿(アスベスト)にセメントなどの結合材と水を混ぜ、直接壁や天井に吹き付けた建材のことです。吹付機とかスプレーマシンと呼ばれる機械で霧状にして吹き付けます。
吹付アスベストは主に以下の性能を確保するために、多くの建築物で使用されてきました。
- 耐火・防火: 火災から鉄骨を守る
- 断熱: 室温を一定に保つ
- 吸音: 音の響きを抑える
アスベストは「燃えない」「腐らない」「薬品に強い」「電気を通さない」といった特徴があるうえに、構造物に上記のような機能性を付加することができ、さらに安価で加工しやすかったため、夢の建材として広く普及しました。しかし、看過できない危険性をはらんでいました。
主な特徴と「危険性」の理由
吹付けアスベストは、アスベスト建材の中で最もリスクが高い「発散性区分:レベル1」に分類されます。
見た目と質感の特徴
- 表面が綿状で、ザラザラ・モコモコしている
- 指で押すと簡単に凹んだり、崩れたりする
- 色は白色、灰色、茶色(茶綿)、青色(青綿)などがある
なぜ最も危険なのか?
吹付けアスベストは「固まっていない」状態に近いため、経年劣化やわずかな振動で目に見えない微細な繊維が空気中に漂います。
これを吸い込むことで、中皮腫、肺がん、石綿肺といった深刻な健康被害を引き起こす恐れがあるのです。除去時はもちろん、調査時にも厳重な管理が必要です。
どこに、いつ頃まで使われていたのか?
使用されていた主な場所
吹付アスベストは広く普及していたため、どこということなく使用されましたが、その中でも特に多かったのが以下のような場所です。
- 鉄骨造建物の天井・梁・柱(耐火被覆として)
- 機械室、電気室、ボイラー室の壁・天井
- 工場、倉庫、プラント設備の屋根裏
- 地下駐車場の天井
令和となった現代でも、昭和の面影を残す古い建物がありますが、その建物には吹付アスベストが使用されている可能性が結構あります。
使用された時期
特に昭和30年代後半〜昭和50年代(1955年〜1975年頃)に爆発的に普及しました。が、健康被害が報告されるようになってから、段階的に使用が禁じられることになります。
- 1975年(昭和50年): 5%を超える石綿を含有する吹付け作業が原則禁止
- 1980年代以降: 代替材料(ロックウール等)への移行が加速
- 2006年(平成18年): 0.1%を超える石綿含有製品の製造・使用等が全面的に禁止
利便性ゆえか、完全禁止になるまで数十年もかかっているため、昭和築の建物や、鉄骨が露出している古い工場・ビルでは、まず吹付けアスベストの有無を疑う必要があります。
解体・改修時の法的義務(石綿事前調査)
現在、建物の規模や構造に関わらず、解体・改修工事を行う前には「石綿(アスベスト)事前調査」を行うことが法律で義務付けられています。
- 有資格者による調査: 専門知識を持つ「建築物石綿含有建材調査者」による現場確認と分析が必要です。
- 結果の報告: 一定規模以上の工事では、労働基準監督署および自治体への報告が義務です。
- 適切な除去工事: 吹付けアスベスト(レベル1)が確認された場合、作業場所を完全に隔離し、負圧状態に保つなど、極めて高度な飛散防止措置を講じる必要があります。

まとめ:怪しいと思ったら「触らず・すぐに専門家へ」
吹付けアスベストは、見た目だけで判断するのはプロでも難しい場合があります。「古い建物の天井がモコモコしている」「梁に綿のようなものが付いている」といった場合は、決して手で触ったり削ったりせず、すぐに専門の調査会社へご相談ください。


