人手不足時代の解体工事業界を変える「DXの波」:業務効率化と新規事業創出の可能性

解体工事DX・不用品回収DX事業を展開し、システム開発や不動産オークション事業を立ち上げている企業が、前年比40%以上で成長しているという情報が注目を集めています。このニュースは、従来の「アナログ産業」のイメージが強かった解体工事業界において、デジタル変革(DX)が急速に進んでいる現状を明確に示しています。

空き家所有者、当社のような解体業者、および関連する不動産テック業界の関係者にとって、このDXの流れは、業界の構造的な課題を解決し、新たな価値を生み出す大きなチャンスとなります。

解体工事業界が直面する構造的な課題

日本クレストの主要事業である解体業界は、建設業界全体と同様に、いくつかの深刻な課題に直面しています。

  1. 「2024年問題」と深刻な人手不足:
    建設業では、働き方改革関連法の施行により労働時間に上限が設けられ、長時間労働に依存してきた従来の業務遂行が困難になっています。職人の高齢化も相まって、「人がいない」「採用しても定着しない」という声は全国の解体業者からも聞かれ、限られた人数で多くの現場を回す必要に迫られています。日本クレストも同様に現場を任せる人材不足に悩まされています。
  2. 低い労働生産性と属人化:
    設計図、書類作成、進捗管理などが紙や電話、FAXといったアナログな方法で行われることが多く、情報共有の不備による重複作業や手戻りが発生し、労働生産性が低い状態が続いていました。また、ベテランのノウハウが個人に依存し、「属人化」しているため、若手や外国人材への技術継承が難しいという問題もあります。ちなみに日本クレストではこの点の改善には早くから着手してDX化は進んでいる方だと自負しています。当社の業務管理には紙もの書類はほぼありません。
  3. 複雑化する法令遵守と廃棄物管理:
    アスベスト(石綿)対策の規制強化や、産業廃棄物の適正処理を証明するマニフェスト管理など、法令遵守のために膨大な書類業務が求められ、人為的なミスがリスクにつながる可能性も高まっています。当社ではこの点にもいち早く対応し、電子マニフェストの導入などDX化に舵を切り、取引先にも可能なようであればDX化への対応をお願いしています。

解体DXが実現する具体的なメリット

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、これらの課題を抜本的に解決する手段として導入が進んでいます。解体現場で活用されるデジタル技術は、主に以下の3つの領域で大きな効果を発揮しています。

1. 安全性の向上とリスクの低減

安全管理は、工期遅延や事故防止の観点から最も重要な課題です。

  • ドローンと3Dスキャンによる事前調査: ドローンや3Dスキャン技術(写真測量含む)により、建物の形状や周辺環境、高所部分を正確に把握し、解体計画の精度と安全性が高まります。これにより、危険箇所の事前把握や最適な解体順序のシミュレーションが可能になり、事故のリスクが大幅に削減されます。日本クレストでも数年前にドローン機材一式を導入していますが、メインが家屋解体のため解体工事でドローンを使用することはめったにありません。
  • 遠隔操作とセンサー技術: 危険な作業を遠隔操作の機械に任せたり、作業員の動態をリアルタイムで管理したりすることで、ヒューマンエラーの低減と作業員の安全確保が進んでいます。日本クレストでは遠隔監視システムを導入し、本社事務所にいながら解体工事や土木工事の現場の様子が把握できる体制を整えています。解体工事の施主様には解体工事の進捗共有の一環として現場のカメラ映像を見ていただくことも可能です。

2. 業務効率化と生産性向上

  • クラウド型施工管理ツールの導入
    日報、写真、書類、進捗状況などをクラウド上で一元管理することで、現場、事務所、経営層が常に最新の情報を共有できます。これにより、電話やLINEでの確認作業が激減し、事務作業の簡略化、移動時間の削減が実現します。日本クレストでは施工管理アプリを導入し、日々の日報、施工写真、書類管理などを行っています。
  • AIによる解体計画の最適化
    3Dモデルデータに基づき、AIが最適な解体手順を算出し、騒音や振動を最小限に抑え、工期を平均で15%〜22%短縮した事例も報告されています。当社はこの分野はまだ未着手ですが、大いに興味を持って情報収集をしています。
  • 技術の継承
    情報をデジタルデータとして蓄積・共有することで、ベテランのノウハウが属人化することなく、新人や外国人スタッフでもアプリ上のタスク指示に従ってスムーズに作業できるようになり、教育コストが削減されます。これに関しては当社もまだまだ発展途上であると反省しております。当社には新人スタッフも外国人実習生も在籍しているのでDX化による効率の追求は大きな課題であると認識しています。

3. コスト管理の精密化と環境対応

  • 廃材の分別最適化AI
    AIを用いて廃材の種類や量を正確にデータ化し、リサイクル率を最大95%以上に高め、廃棄物処分コストを大幅に削減する技術も登場しています。この技術は岡山でも一部導入が始まっているようです。
  • 電子マニフェストの活用
    廃棄物管理の書類業務をデジタル化することで、法令遵守の徹底と行政への報告業務の効率化が図られています。当社ではすでに電子マニフェストを導入済みです。

DXが生み出す新たな事業領域

今回のニュースでは、システム開発と並んで「不用品回収DX」や「不動産オークション事業」の立ち上げが紹介されています。当社のような解体業者がDXを導入することで、単に建物を壊すだけでなく、解体によって得られるデータを活用した新規事業に進出する動きが活発化しています。

  • 不用品回収DXと資産化
    空き家や古い家屋の解体時には、大量の不用品や残置物が発生します。これらのうち、ブランド家具や貴金属、古書など、買取価値のある物品を正確に査定・評価し、不動産テックやオークションシステムと連携させることで、施主の処分コストを抑え、資産を換金するサービスを提供できるようになります。従来の解体業者が対応しきれなかった、不用品の「資産化」という付加価値を、DXが実現します。ちなみに当社ではこういった買取分野の業者様ともつながりを持つようにしており、状況に応じて買取査定の提供も可能です。
  • 解体後の土地活用への貢献
    解体後の土地の地盤情報や試掘調査の結果、周辺環境の3Dデータなどをデジタルで一元管理し、次の建築業者や不動産事業者に迅速かつ正確に共有できる仕組みは、「解体から建築までの一気通貫DX」として、土地売買や再開発のスピードを劇的に向上させます。

空き家所有者・発注者が受けるメリット

解体業界のDX化は、最終的に解体を発注する空き家所有者や不動産開発業者に大きなメリットをもたらします。

  1. 正確な見積もりと安心感
    記述のとおり、ドローンや3Dスキャンを活用した精密な事前調査により、予期せぬ追加費用や工期遅延のリスクが低減し、より正確な工期とコストの提示が可能になります。
  2. 近隣トラブルの回避
    AIによる最適手順のシミュレーションや、騒音・振動の低減技術により、住宅密集地での近隣トラブル発生率が大幅に抑制されます。
  3. 高い透明性
    クラウドツールを通じて、施主も現場の進捗状況や作業報告(写真・動画)をリアルタイムで確認できるようになり、工事全体への信頼と安心感が高まります。

まとめ

DXは、解体工事業界にとって単なる効率化のツールではなく、労働環境を改善し、若手人材を引きつけ、さらに新しい収益源を生み出すための「革新的なビジネスモデル」の礎となっています。解体工事を検討される際は、最新のDX技術を積極的に導入し、安全と透明性を追求している業者を選定することが、安心でスムーズな工事を実現するための重要なポイントとなるでしょう。

当社も慢性的な人手不足業界で事業展開している以上、こうしたDX化は率先して取り組む必要を感じています。効率化を追求し、当社だけでなくお客様のメリットにも寄与できればと考えております。