解体工事の「散水」。なぜ大事?いつする?

「解体工事って、建物を壊すだけでしょ?」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実際には壊すだけでなく、“守る工事”でもあります。
何を守るのかというと、近隣の環境・人の健康・作業員の安全など。
そして、これらを守るために欠かせないのが、「散水」という作業です。
今日は、そんな地味だけどとても重要な“散水”の役割についてご紹介します。
散水とは?どんなタイミングで行うの?
解体工事では、建物を壊す際に大量の「粉じん(ホコリ)」が舞い上がります。
この粉じんは、風に乗ってあっという間に近隣に広がり、洗濯物や住宅に付着したり、吸い込むことで健康被害を引き起こすことも。
もちろんそんなことになったらクレームになります。
そのような事態を防ぐために、あらかじめ水をまいて粉じんを抑えるのが「散水」という作業です。
散水は主に、次のようなタイミングで行われます。
- 作業前の足場養生時
- 重機で建屋を壊す時
- がれきの分別・積み込み時
- 現場内をトラックが走行する時
- 作業完了後の清掃時
つまり、解体の最初から最後まで、散水は何度も出てくる欠かせない工程なのです。
なぜそんなに散水が重要なの?3つの理由
近隣への配慮(クレーム防止)
粉じんが近隣に飛散すると、かなりの確率で
「洗濯物が汚れた」
「車が白くなった」
「窓を開けられない」
といった声が上がります。
その程度によっては、苦情やクレームに発展し、工事がストップするケースもあるほど。
そのようなことになれば、解体業者は評判を落とし、施主さんはご近所さんとの関係がぎくしゃくしてしまいます。工事がストップすればその分だけ余計な経費も掛かるでしょう。
散水はそのような事態にならないように行われます。
いわば、近隣の方々に不快な思いをさせないためのマナーでもあると言ってよいでしょう。
作業員の安全と健康
舞い上がった粉じんを吸い込むと、作業員の呼吸器に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、粉じんによって視界が悪くなり、重機やトラックの操作ミスにつながることも。
そうなるとケガ人を出すなどのより深刻な事故を引き起こしかねません。
しっかり散水することで、作業員自身の安全性も高めることができるのです。
法令遵守と社会的責任
粉じんの飛散防止については「粉じん障害防止規則」など、法令で事業者による対策が義務づけられています。
違反すれば、行政からの指導や工事の中断ということも。
きちんと散水している現場は、
「法令を守っている=信頼できる業者」
とも言えるでしょう。
散水を軽視すると、思わぬトラブルに…
もし散水が不十分だった場合、
たとえ工事がスムーズに進んでも、近隣からの苦情や、行政の介入で現場が止まるリスクが出てきます。
「まさか、ホコリだけでそんなに大ごとに…?」
そう思われるかもしれませんが、近年は住環境や健康に対する意識が高まっているため、解体工事の現場でも“丁寧さ”と“配慮”が強く求められているのです。
良い解体工事は、水から始まる
解体工事というと、「荒々しい」イメージがあるかもしれませんが、実際には周囲を守る“繊細な仕事”が詰まっているのです。
中でも散水は、
✅ 近隣トラブルの予防
✅ 作業員の安全
✅ 法令遵守
の3つを支える、いわば“縁の下の力持ち”。
もし今、解体業者を選んでいる最中であれば、ぜひ「粉じん対策としての散水をどのように行っているか?」を確認してみてください。
丁寧に散水する業者は、それだけ配慮が行き届いている証拠です。
安心できる解体工事のために、ぜひ散水にも注目を!