解体工事業登録とは?建設業許可との違いも解説

空き家の解体、老朽化したビルの取り壊し、リフォーム前の内装解体など、私たちの身近で行われる「解体工事」。
しかし、この解体工事を業として行うには、法的な登録が必要で、それが「解体工事業登録」です。

この記事では、解体工事業登録とは何か、誰が対象なのか、建設業許可との関係などを分かりやすく解説します。

解体工事業登録とは?

「解体工事業登録」とは、建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)に基づく制度で、解体工事を請け負う事業者が都道府県に登録することを指します。

登録が必要な理由

解体工事では、コンクリート、木材、鉄骨などのさまざまな資材が発生します。これらを適切に分別・再資源化せず、ただ埋め立てたり不法投棄したりすると、環境破壊や地域トラブルの原因になります。

そのため、国は一定の基準を満たした業者だけが解体工事を行えるよう、技術力や実績のある業者を「登録」する仕組みを設けたのです。

解体工事業登録が必要な工事とは?

以下のような建物等の解体工事を請け負う場合に、原則として登録が必要です。

  • 木造住宅の取り壊し
  • 鉄骨造、RC造ビルの解体
  • 工場・倉庫などの構造物の撤去
  • 内装解体(部分解体)も一定規模を超えると対象になることも

注意点

「自社物件を自社で解体する」だけなら登録は不要ですが、他人の依頼を受けて有償で行う場合は、規模に関係なく登録が必要です。

登録せずに営業することは禁止されており、違反すると罰則があります(6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金など)。

登録に必要な条件

解体工事業登録をするためには、以下のような基準があります。

  • 解体工事の実務経験を持つ者が在籍していること(施工技術者)
  • 実務経験が3年以上ある、または「建築施工管理技士」「とび技能士」などの資格保有者がいること
  • 法人格がある(または個人事業でも可能)
  • 欠格要件(破産・暴力団関係者など)に該当しないこと

これらの条件を満たしたうえで、都道府県知事に申請・審査され、受理されると「解体工事業者」として登録されます。

建設業許可との違いは?〜500万円の壁〜

ここで混同されがちなのが「建設業許可」との違いです。
実は、解体工事業登録と建設業許可はまったく別の制度です。

区分解体工事業登録建設業許可
根拠法建設リサイクル法建設業法
必要な工事規模金額に関係なく必要500万円(税抜)以上の工事が対象
主な目的適正な資源再利用の確保公共性・信頼性のある施工体制の確保

「500万円以上」の工事には建設業許可が必要

たとえば、木造2階建て住宅(延床30坪)の解体で、工事費が600万円だったとします。

この場合、

  • 建設業法上、「建設業許可(解体工事業)」が必要です。
  • ただし、建設業許可を取得していれば、解体工事業登録は不要(=登録業者とみなされる)ため、両方を取得する必要はありません。

逆に、

  • 工事費が499万円以下であれば、「建設業許可」は不要ですが、「解体工事業登録」は必要になります。

この「500万円の壁」は、どちらの制度が必要になるかを分ける重要な基準です。

解体工事業登録のメリット

解体工事業登録をしていることで、以下のような信頼性・取引面でのメリットがあります。

  • お客様に「信頼できる業者」として認知される
  • 公共工事の入札に参加できる(登録が条件となる自治体も)
  • 元請業者からの下請依頼を受けやすくなる

一方で、登録していない業者は見積り段階で弾かれる、契約が無効になるリスク、最悪の場合、行政処分や損害賠償の対象になることもあります。

登録業者かどうかを見分ける方法

一般の方が業者を選ぶ際に、その業者が解体工事業登録されているかを見分けるには:

  • ホームページに「解体工事業登録番号」が記載されているかを確認
  • 都道府県のホームページにある登録業者一覧で検索する(例:岡山県「建設リサイクル法登録業者検索」など)

見積り段階で「登録証の写しを見せてもらえますか?」と尋ねても問題ありません。

まとめ|信頼できる業者選びの第一歩は「登録の有無」

解体工事業登録は、ただの形式的な手続きではなく、「適正な工事を行える技術者が在籍している業者かどうか」を判断する重要な基準です。

そして、500万円以上の工事であれば、「建設業許可(解体工事業)」も必要になるため、業者側はしっかりと両方の制度を理解・取得しておく必要があります。

お施主様にとっても、業者選びの際には、

  • 「解体工事業登録済みか」
  • 「建設業許可を持っているか(500万円以上なら特に)」

をチェックすることで、トラブルのない安心・安全な解体工事につながります。

ちなみに、日本クレスト社は国土交通大臣による特定建設業許可を取得しています。小規模な解体工事はもちろん、500万円を超える大型解体工事まで請け負うことができます。